「異次元テニス」をめざして

ー 残酷な天使の「アンチテーゼ」 ー

滅びの言葉「イップス」

Wikipediaによると、イップス (yips) は、

精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、突然自分の思い通りのプレー(動き)や意識が出来なくなる症状のことである。

本来はゴルフの分野で用いられ始めた言葉だが、現在ではスポーツ全般で使われるようになっている。

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ゴルファーの半分近くがイップスを経験するそうです。

イップスはあらゆるスポーツで見られる症状で、このために引退を余儀なくされた選手も多いのです。

イチローも経験しています。

サーブが打てなくなって引退した選手もいます。

サーブが打てなくなって、バックスイングを小さくし、肩にかかえた位置からサーブをしていたプロ選手もいました。

GAORAの「ATPテニスマガジン」で、あるプロ選手が「練習でフォアハンドのボールがネットを越えなかった」と話していました。

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ゴルフ選手が多いのは、それだけ「打点での動き」が重要なスポーツだからです。

テニスもレベルが上がれば上がるほど、「打点での動き」が重要になってきます。「イップス」の危険が高まります。

伝統的なテニス」で「打ち方」を練習し、十分技術を身につけた選手がある日突然打てなくなるのです。

いくら練習で体に覚え込ませても、頭の中に、「打点での動き」に対する疑問が起きれば、「魔法」は解けてしまいます。

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卓球の張本選手も野球の大谷選手もある日突然「イップス」になるかもしれません。

実は、卓球はラケットも小さく「打点での手首の動き」も小さいため、テニス程難しくないように見えます。

ところが、簡単に思えるがゆえに、「打点での動き」が軽視されてしまいます。

「世界卓球」の後のインタビューで、張本選手は、「フォアの強化が課題」と話し、目標とする中国選手の名前を挙げていましたが、「異次元卓球」を見つけることができるのでしょうか。

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話は変わりますが、大谷選手の第4号のインコースのホームランは素晴らしいですね。

軽く打っているのにホームラン、天才でしょうか?

スローモーションで「打点でのバットの動き」をよく観察してください。

あのインコースでは「体全体のパワー」をフルに使うことはできません。

体回転をコンパクトに使い、前の打点で「手首の返し」を優先させます。

しかし、もし大谷選手が「天才」的に打っていて、「打点での動き」を十分理解していないとしたら、「残酷な天使のテーゼ」に苦しむ日が来るかもしれません。

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重要なのは「打点での動き」を十分理解することと、その動きを優先させながら、「体全体のパワー」をボールに伝えることです。

「伝統的なテニス」である「テーゼ」とその欠点を分析する「アンチテーゼ」を「闘わせる」ことで「異次元テニス」が生み出されるのです。

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